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特集・ JOC(働く人の家)
 

聞いてみたい!
永代の気になる!?場所インタビュー

 

“若い人たちが成長する場

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「あの蔵はなんだろう?」会社の斜向かいにある蔵には「働く人の家」という看板が飾ってある。あの不思議な場所をもっと知りたい。そう思ったえいたいみたいスタッフは、さっそく取材を申し込んだところ、ペラールさんという、フランス人の神父さんがやさしく招き入れてくれました。聞けば、そこはJOC(Jeunesse Ouvriére Chrétienne/フランス語【ジョック】)という、15歳~35歳の労働者たちのコミュニティを形成している組織で、100年前のベルギーで始まって以来、その働きは世界中に広がっています。本日は、ペラール神父およびスタッフの方から、お話を伺いました。

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▲建物の外観からは想像もできないログハウス風の内装。開放感とぬくもりたっぷり。

​ 元は古い蔵だったのを、ペラールさんがリフォームしたそう。

えいたいみたいスタッフ(以下:え):中と外でだいぶ違うからびっくりしました。玄関を入ると別世界。

一同:笑

え:今日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、JOCとはカトリック教会が母体となっている団体なのですか?

宇井さん:そうなりますね。

ぺラールさん:この家は東京のカトリック教会の施設ですが、自由に誰でも「どうぞ利用してください」って。それはありがたい。

新谷さん:青年たちが気兼ねなく集まれるっていうところではやっぱり大切な場所かなって思いますよね。

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▲元気でやさしい神父のペラールさん 北海道で40年暮らし、永代へ。ミーハーな一面もあるらしい。

え:webサイトでJOCについて拝見させていただきました。スタートが100年前のベルギー王国。特に女性や若者の労働環境が劣悪で、人間らしい扱いをされなかった状況を憂慮したカルデンという神父が、若者のグループを組織したと記載されています。今は日本にも何箇所か支部があるようですが、一番最初に作られた目的は日本にも当てはまるものですか?

新谷さん:そうだと思います。今の若い人たちもやっぱり劣悪な環境で働く人たちは居て、長時間労働だったり雇用が守られてないだったりとか。そういう不安定な雇用で働いている人たちも居ます。状況は年代によっても違うかもしれないですけど、働く若者にとって、現状は厳しい部分もあるっていう部分は変わらないと思います。

え:それは俗にいうブラック企業に勤めている若者たちが集うというイメージですか?

ぺラールさん:ブラック企業でなくても、普通の企業でも。銀行員さんここに居るしね。それでも色んな問題はあります。やっぱり休みを取りにくいとか。

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▲新谷さん JOC会長 SAX奏者でもある

え:現在JOCはどういった活動をされているのか、教えていただいてもいいですか?

ぺラールさん:わかりにくいからどうぞ

一同:笑

新谷さん:ここでは週に一度、若者たちが集い、自分の置かれている状況を話したり、仲間の話を聞いたりしています。地域によって集まる頻度っていうのはまちまちなんですけど。

岡江さん:全国的な活動と、各グループでの活動があります。青年たちが集まって、まず自分たちの身の回りの生活そのものを皆でシェアするっていうことから始めます。そこから現状がどうなっているのか、置かれている状況によってどういう影響が出てきているのかとか、更に原因はどこあるのかとかを分析しながら、自分たちはどうやって今の現状を変えていくことができるのか。いわゆる社会に対する、現状に対するアクションを起こしていくっていうのがメインなんですよね。

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▲岡江さん JOC卒業生 現在はサポートとして活躍。

え:アクションというのは、例えば「来週は社長に賃上げ直談判するぞ」といったことですか?

宇井:そこまでは。。笑

あ、でも結構昔ですけど、会社の労働組合に入って、ボーナスカットに抵抗して戦うとかした人はいましたね。

岡江さん:昔はそういう動きも盛んでしたが、今は組合の勢いも落ちている、労働現場がバラバラになっていく、雇用形態が多様化して団結しづらくなっている、というのも問題。

労働組合があっても自分との接点が見つからない、というのも問題。そことの関わりを考えていくのも一つの働きかと。

え:個人のレベルで改善していくべき問題にフォーカスしているということですか?

宇井さん:アクションを起こすことを最終的な目的としてるグループではあるんですけど、そのアクションの形が何かっていうのは、青年たち自身が、自分たちの現状を見るってところから始めるのです。その上で何が必要なのかってのを自分たちで考えていこうってところから始めるんで、そのアクションまでの時間はかかるし、ちょっと地味な活動になったりもするんですけど。まあでもそこからも皆で一緒に考えていこうっていう感じです。

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▲宇井さん

え:具体的にはどういった問題がありましたか?

ぺラールさん:いっぱいあるけどね。例えば仕事がうまくいかなくなって辞めて、家に引きこもり、自信がなくなるっていう問題。

 そういう状態でここに来たら、元気にさせる。元気になるために責任を与える。例えば、友達に対する責任とか。食事できない状態の人に、元気になるために食事しなさいって言ってくれる友達に対する責任。

 これは社会に出ていくっていうのがどういうことかっていう一つの例ね。自信をつけていくこととか、学校出て社会に出ても、学んでないこと、知らないことが多いよ。働くことにもっている疑問を、先生と生徒という立場ではなくて、皆同じ立場でこれは何だろうか、考えて調べていく。そこからスタートする。

宇井さん:(新谷)アオイちゃんは実際に自分が…

新谷さん:そうですね、私は最初は大学生の時、最初は叔母に誘われて、ここが100周年の時に楽器を演奏したことから関わりが始まりました。元々ここに来るまでは、あんまり政治とか社会に関心がなかったんです。でも、自分と政治がつながっていると知れたのも、ここでの活動がきっかけでした。気になってるニュースとかを「これ気になってるんだよね!」って持ちかけて皆でこれについて考えてみよう、とか。

 何かがうまくできないのは自分のせいだって思っちゃうときもあって…

そんなとき社会の構造がこうなっているんだって気づいて、それからは自分をあまり責めなくなりました。それはやっぱりJOCの仲間のおかげという部分はあります。

 自分の現状を話すっていう機会は、仕事でも生活でもなかなかなかったんです。友達同士でも、そんなに深くまでは喋らず仕事の時の愚痴で終わっちゃう。だからいろんなことを1人で悩みがちだったんですけど、ここはどう生きたいか、何を大切にしていきたいのかっていうことを皆と一緒に考えられる場所。

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▲岡江さんが淹れてくださった絶品コーヒーをいただきながらお話し。

ぺラールさん:人間関係は大きな問題だね。どうやって良い人間関係作れるか。

え:そのあたりを悩んで来られる人も多いですか?

ぺラールさん:多い。私から見ればね、表現できないのが原因の人が多い。自分のことを上手に話せない、持ってる感情が出せない。だからここに来たら、「私はこう思っているよ」って出せるようにする。

岡江さん:みんな小さい頃から従順っていうか、周りに合わせるってことを良しとする雰囲気の中育ってきてるので、いきなり自分の意見を言いなさいと言われてもなかなかできない。

 だから日々の訓練というか、トレーニングをこの中でしていくっていうのも一つの改善方法ですね。みんなで集まって色んな人に質問されることによって、自分の持ってる、考えてることを引き出してもらえる。自分が自分でどう考えているかも分かるし、言えるようになる。

みんなの話を聞いて、客観的に見る目も段々養われていく。

 

ぺラールさん:聞かれることに慣れてない青年が多い。「あなたはどう思いますか」って聞いても「え?私?」っていう。「そんなの聞かれたことない」っていう。「あなたの意見は何ですか?」とか。自分の意見言うことは大事だと思うね。

え:(フランス人の)ペラールさんから見て、日本人は特にそういうのが足りてないように思いますか?

ぺラールさん:そうだね。フランス人と正反対。

一同:笑

ぺラールさん:フランス人てやりすぎだよ。笑

え:ここで皆の前で話したり質問に答えることを通して成長していくんですね。

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え:ここではゴールというか、「こうなったら卒業」といった着地点はあるのですか?

宇井さん:ありません。自分の現状が良くなったとしても社会には問題が色々尽きないので。悩むことは色々あるし。

え:直接自分に降りかかる話でなかったとしても、考えていくということですか?

宇井さん:自分の繋がっている社会だから。その問題も段々見えてくるようになるし。

え:週に1回、青年が集まるとのことですが、そこで集まった時はどういうことをされてるんですか?

新谷さん:そうですね、永代では7人くらいで集まって、この1週間どうだったかなっていう近況報告や、自分の話したいことをみんなで話して分かち合うといった報告会のようなものがあります。

 また、近く札幌で全国のメンバーが集まるので、そこで全国の皆で集まって何がしたいかを一緒に考えたりもしています。それから、労働の歴史とかを、実際に現地に行きながら学ぶフィールドワークというのを今計画しています。

活動は他にもいろいろありますが、一人一人の「見直し」というのもJOCの中の1つの活動の1つです。「見る」「判断」「実行」という3つのプロセスがあります。まずメンバーの中の一人にスポットを当てて、みんなでその人に質問し、その人がどういう状況なのかというのをよくよく「見る」。そこからどういう風にしていけばいいか、「判断」をします。そのあと、自分で「実行」(アクション)していく。「見直し」は一人一人定期的にやっていったりします。次の自分の番では、前回のアクションはどうだったかなっていうのを、できたかできなったかの評価じゃなく、どういう風に動いていったかどうかで振り返り、次に繋げます。

岡江さん:あとは、アンケートを取ったりも。

新谷さん:青年の現状を知るためのアンケートっていうのを、全国的に取っています。1日どういう生活をしてるかや、自分の好きなことに使えるお金があるか、貯金ができているかとか。

 また、職場の今の状況を詳しく見るために、職場で自分の働いているデスクはこの辺りだよとか、周りに相談できる人が居る居ないとか、そういうこともワークを作って話し合ったりします。

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▲入って正面の窓からは絶景が!隅田川の目の前。

え:ありがとうございます。今後はどういう展望を考えていますか。

新谷さん:やっぱり、続けていきたいですね。共に歩める仲間と一緒に続けていく。続けることで出会えることもあるし。

 あと、もうちょっと外に出たいかなっていうのはあります。色んなところに出向いていきたいですね。こちらから出向いて、同じように考えている団体さんと繋がりたいですね。

ぺラールさん:私の展望はやっぱり「社会人として生きる」ということ。社会に出て、その責任をとっていくっていう。日本を作っていくていう。日本はどういう方向に向かっていくのか。全世界の中で、日本の立場なんなのか。それでいいのか。日本はどこにいくのかな。JOCもどこにいくのかな。

え:そういうことにも関心を持って、積極的に意見を持つ大人になっていってほしいってことですね?

ぺラールさん:そういうことだね。

宇井さん:JOCのミッションというか、目的の一つに「青年の教育」っていうのが設けられています。ただの活動団体ではなく、主体的に青年たちが参加するんだけど、その中で教育されていくっていうのは、一つの目標となっていますね。

え:大人になると誰も教えてくれないことが多いですからね。

ぺラールさん:戦争の問題も自分と関係がないわけでもないし、影響も出てくるし。クリスチャンと同時に、社会人だからね。

 

え:この度は貴重なお話をありがとうございました。最後に何かメッセージはありますか?

新谷さん:気軽に遊びに来てください。一人で思い悩んで孤独を感じていたりする人に来てもらえたらいいと思いますね。

宇井さん:自分自身はアクションを起こしたいけど、一人だとどうして良いか分からない、みたいな人もきっといるんじゃないかな、と思います。そういう人たちと繋がりたいです。

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